将来の夢が目まぐるしく変わった話
今回の記事は少し役に立つことが書いてあるかもしれません。
ファーブルになりたい
壁一面に広がる本棚に囲まれて育ちました。これらは父が毎日読んでいたものです。
文字があまり読めない私には図鑑をよく買ってくれました。プレゼントは嬉しいもので、「ぼくのもの」という特別な感情を抱いていました。そこで朝から晩までずっと図鑑を開いて過ごしていました。
自然好き、虫好きな私を見た父はファーブル昆虫記を誕生日プレゼントとして贈ってくれました。とびきり嬉しかったです。立派な化粧箱に入れられており、全部で8巻もありました。
もちろん毎日読みました。何度も。
500回は熟読したと思います。いや、もっとかな。そしてこう思うようになったのです。
「ぼくファーブルになりたい」
ファーブル昆虫記を読んだ私はすっかりファーブルに魅了され、いつしかファーブルのような昆虫学者になりたいと強く思うようになりました。
野遊びに外に出かけるとファーブルになった気分で虫を探し、家に持ち帰るとファーブルを真似して観察するのでした。
これが楽しかった。
また、勉強もたくさんしました。
ファーブルも大変な勉強家だったからです。知識が偏らないよう、虫だけでなく魚類や両生類から天体・宇宙まであらゆる図鑑を熟読しました。博物学者でもあったファーブルに少しでも近づきたい。情熱にあふれていました。
野生動物のカメラマンになりたい
家ではほとんどテレビを見ませんでしたが、いつも家族で楽しみにしていた番組があります。
それが、「ダーウィンが来た」。
いや違う。
「ダーウィンが来た!」
毎週日曜日19:30になると、愛用している「小学館の図鑑NEO」を小脇に抱えて1階の居間に行きます。家族全員で小さなコタツ机を囲んでテレビをつけます。
さすがNHK。映像が綺麗すぎです。しかも躍動感といったら…。思わず身体が前のめりになるのでした。これほども視聴者に感動と興奮を与えられる番組はあるでしょうか。
こうして「ぼく撮影スタッフになりたい」と言い出したそうです。
四谷大塚で働きたい
初めて出会ったのは小学4年生に上がった頃でした。
小6までの学習を一通り終えてしまい、次に何をしようかなと迷っていたところに、父が取り寄せてくれました。
予習シリーズという教材。
粋な名前ですね。予習っていうのはひと足先に学ぶってことだよね。ワクワクしませんか?
最初は国語・算数・理科の3教科から始めました。
特に理科が楽しかったです。カラー写真が惜しみなく使われており説明も丁寧。国語は解説がびっくりするほど詳しかったのを今でも覚えています。
いつの間にか虜になっていました。
テキスト案内のパンフレットが届くと、片っ端から赤鉛筆で丸をつけていき、ぜんぶ欲しい!なんて言ってました。翌週には大きなダンボール箱にたくさんの教材がぎゅうぎゅうに詰まって届きました。すっかり予習シリーズが気に入った私は朝から晩までずっと教材を解くこともありました。
目を輝かせて言ったようです。
「ぼく四谷大塚で働きたい」
〇〇になりたい
こうして私の興味関心の対象は絶えず移っていきました。あるときは灘校生になりたいと強く願いましたし、またあるときは詩人になりたい、児童文学作家になりたい…と文筆家を目指したときもありました。受験勉強のかたわら児童文学や詩を書きつけたこともありました(文章は下手ですけどね)。
高3になってから、急に大学受験を辞めて登山家になりたいと考えた時期もありました。いや違う冒険家だ、探検家だと迷った時期もありました。それでもやはり皆と違うことをする勇気が足りず、おとなしく大学受験をしたのでした。
大学入学後も山への情熱は消えず、4年間で600座以上の山を逍遥しました。冬山も駆け巡りました。冬が来て白く輝くアルプスを見ると血が騒いだのを覚えています。衝動を抑えきれず急に荷物をまとめて山に4〜5日ほどこもったときもあります。また3月の山スキーシーズンに入ると下宿に戻らず山を渡り歩いたこともありました。
2度目の人生があれば迷わず冒険家を選ぶかも。
私が伝えたいこと
この記事で私が伝えたいことは、単なる自分の過去ではありません。
夢を持てば底力を発揮できるということです。
そのまま夢になるくらい好きになろう、熱中しようということです。
単なる虫好きよりもファーブル昆虫記を愛読している虫好きの方が詳しいでしょう。研究者やカメラマンを志す人が見るダーウィンが来た!は誰よりも中身が濃いでしょう。四谷大塚で働きたいと思ってしまうほど夢中で教材に取り組むと内容の理解・吸収が早いでしょう。絶対に東大に入って〇〇先生の研究室で活躍したいと思っている人は、なんとなく就職に有利だからという理由で東大受験する人よりも確実に勉強に身が入るでしょう。
目標よりも夢を持つべきなのです。
目標は夢に付随するもの。目標だけでは弱いです。
…と四半世紀しか生きていない若者が偉そうに書いています。
今回もご参考になりましたら幸いです。
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